Spicy girl No.4 <チョコレート騒動、その3> その頃、とボンちゃんは二人連れ立って、大きな紙袋を抱えて、とりあえずスワンだ号に帰ってきた。 ボンちゃんは、厳重に、キッチンからの撤退命令をクルーに出した。 「さぁ、カタトールだっけ?それ、やんなサーイよう」 「えっ!?だってボンちゃん、出っててくれないの?」 「あら〜ん、あちしたち女同士じゃナーイ?固いことはナッシングvあちしあ〜んたの胸なんかいつでも見てるし?」 「……いやだ。出てって!」 「もう、仕方ないわねぃ。ちゃん、わがままなーーんだから。まっ、そこも可愛い〜〜んだけどねぃ」 見ても今さらだわねぃと、ぶちぶち言いながらも、素直にボンちゃんは出て行った。 残されたは、なんとか自力で作業をしていった。 喉からおへそまですべりのよいクリームを塗りこみ、カタトールを噴きつけおっぱいの型取りに余念がない。 その際、忘れずに、先っぽは“つん”と尖らせておいた。柔らかい粘土状だった物体が徐々に、固まりだした。 椅子に座って、鎖骨のあたりからおへその上まで、しっかりカタトールに包まれたはなんとも奇妙で馬鹿げていた。 は、我ながら情けなくなってきた。動いたら、やり直しになるのは分かりきっているので、身動きなままならない。 だんだん、カタトールのつるりとして暖かな感触が、ぱりぱりと乾き冷たくなってきた。 後ちょっとの我慢と自分に言い聞かせていた時に、キッチン脇のドアが騒がしくなってきた。 「ちょおっとぉ〜〜ちゃん?まだかすら?鼻ちゃんが匿ってくれって来て〜んだけど? どぅ〜〜〜かすら?調子は?もう開けていいかちらん?」 「ーーーーーっ!!!開けろ!!!サンジが追ってきてんだぁあああああああああ!!!」 「えっ!?だって、ダメ〜〜〜〜!!まだ、カタトールやってるとこだもん!!!なんとかしのいで!!!」 ドアの向こうに、もうサンジが到着したような気配がしてきた。 どったんばったんとウソップが逃げ回る音が聞こえた思ったら、蹴りを喰らってふっとぶ音、断末期の悲鳴がこだました。 「ちゃーん、あちしがなーーんとか食い止め〜るからねぃ!さっさと作っちゃいなサーイ!ふごっ!!!」 「ああーん!なに言ってんだ腐れオカマ!どけ邪魔だ!!!」 「なによう!サンちゃん痛いじゃナーイのよう!ちゃんは渡さナーイわよう! いくぜ、ヤロウドモ!オカマパワーを見せてやれや!!!」 サンジとボンちゃんが、を取り合う状況とは、如何なものか? ちょっと経過を、巻き戻して見てみよう。 GM号を飛び出したあと、サンジは、難なくウソップを見つけたが、 ウソップは、前もって入念にシュミレーションを練った汚い戦法で、するするとサンジをかわし逃げていた。 またその戦法の狡猾なこと、例えば、巻きビシ地獄と叫んでわざわざレディの前でまく。 まかれたレディにケガがあっちゃなんねェと、サンジの騎士道精神を一々煽り、確実に罠に嵌るように仕掛ける。 もちろんレディには、前もってお願い済みだ。 そんなこと知らないサンジはウソップのやり方に、益々、怒り狂って追ってくるのだった。 「くそヤロー!レディになんてことしやーーーがる!! てんめェー、絶対、その鼻ひん剥いて代わりにバナナ植えて、釣りエサにしてやる! おおぅ!バナナワニが釣れるまで、海に漬け込んでやる!待ちやがれ!!!うおっ!!!!!」 今度は、上から水の入ったバケツが降ってきた。レディの頭に水がかかる寸前に、 サンジが滑り込み、レディを突き飛ばした。 「くっそっ!つっめってェーーーー!!!ああ、お美しいレディ、失礼しました。お怪我はありませんか? すみませんが、レディv急ぎますので……。待てコラーーーーーーーーーーーっ!!!」 「ハァーハァ……だから、さっきから、俺はカタトールの製作にタッチしただけだーって、言ってんだろうがぁあああああ!」 「バーロォゥんなアホなこと、が頼むかよ!てめェー嘘ばっかぶっこいてんじゃねェ!!! 正々堂々、俺に捕まりやがれ!!!汚い手ばっかで、逃げてんじゃねェーーーーーーーーーー!!!」 逃げる道すがら、ウソップは、に頼まれたことを叫んで教えたが、サンジの怒りはおさまるどころか、 その内容に更に怒り狂い、無茶苦茶な蹴り技を出してきが、 ウソップは、辛うじて、とびっきり綺麗なレディの影に隠れ、難を逃れた。 サンジが、そのレディにメロメロになった隙をついて、とんずらだ。流石に入念に練られた戦法なだけある。 ちょっと情けないと、思うが……。 「くっそーーーー!!!あんの腐れっ鼻、何処いきゃーがった!ちっ!逃げ足だけは、最高だなあいつは」 サンジは、ぶつぶつ呟きながら、タバコに火をつけ周りの見渡した。 ウソップを追跡しているうちに、食料品市場に、いつのまにか来ていた。 ――ほう、これまったいい感じの店が多ェな。ん〜あっ!!!やっべっ!!アレまだ買ってねェ! ちっ!不味いなーくっそっ明日だったな。今、買わねェと間に合わねェ〜ハァー……鼻追跡は、後だ! サンジはしきりに市場の中を、あっちうろうろこっちうろうろと、お目当ての店を探し始めた。 さっきまで怒り狂っていたのに、不思議な男だ。 一陣の爽やかな風が吹き、甘い香りがサンジの鼻腔をふっとくすぐった。 ――ビンゴ! サンジは、店の親父に、欲しいものの分量を告げるが、店の親父は全部売り切れたと言った。 「はっ?ねェのか?ん〜参ったな。じゃーよ、此処以外で何処いきゃ手に入るんだ?」 「お客さん、すまないね〜。うちしか取り扱ってないんだよ。さっき大量に買ってた人に分けて貰うしかないと思うよ」 「んっで、どこのどいつに売ったんだ。教えろや」 お目当ての食材が根こそぎ買い占められたと聞き、サンジは気落ちしつつ、むかついてきた。 親父の答えは、サンジを瞬時に、怒りどっかーんMAX!とんでもないレベルまで上げた。 サンジは、礼を言うのもそこそこに、ボンちゃんの船まで、まっしぐらに駆け出した。 ――クソッオカマヤローーー!!!どこまで俺の邪魔しやがんだ!!! 二人連れのオカマと可愛い女の子つ〜〜〜〜たら、とボンしかいねェつーの!!! そんなわけで、このままじゃー絶対死ぬのは間違いないと悟ったウソップが、ボンちゃんの庇護を求めた先まで サンジは、やってきたのだ。 苦労の甲斐のなく、ウソップは、逃げる場のない船上であっさり掴まり、蹴りを喰らって気絶してしまった。 「上等だ!!!クソヤロー!!!いったいなんなんだ、てめェは?俺に惚れただなんだかんだと、 言ってやがったと思ったらを渡さないだ?あ”ん!舐めてんじゃねェ!!! は俺のもんだ!出て来い!!! つ〜〜か、どさくさに紛れてチョコ買い占めてんじゃねェ!!!」 ぶんっと、鋭い回し蹴りがボンちゃんの頭をかすめるが、オカマ拳法負けてはいない、余裕で避けた。 「べェ〜〜〜〜だ。サンちゃん、さっき『邪魔もんは俺かよ!!!好きにしやがれ!!!』って、言ったわねぃ? あちし、こう見えても女の子だ〜〜い好きな〜のよう。ちゃんいただき!!!オラッ!どうぞおかまいナックル! あちしだってねぃ、チョコ菓子作ってみたいのよーーん!!!」 口喧嘩な〜ら負けないわよんとばかりに、ばんばんしゃべるしゃべるボンちゃん。 蹴りを繰り出すサンジ、オカマ拳法で巧みに避け、攻撃を繰り出すボンちゃん。 二人の戦いは、そう、あのアラバスタの時のように白熱していった。 つ〜かボンちゃん、に変身すりゃいいと思うのだが、今回は、中々変身しない。 オカマ拳法使いの意地なのか?はたまた?単なるバカなのか?多分、後者であっただろう。 白熱する戦いの最中、キッチンでは、が悪戦苦闘していた。 は、すっかり固まったカタトールを外し、服を着ようとした。 しかし、サンジ登場に慌てたせいで、カタトールの噴霧器を倒してしまった。 服は、すっかりカタトールまみれになってしまい、再び、身に付けることは到底無理だった。 すっかり動転したが、やっと見つけたのは、この船のコックの持ち物なのか? 他に着られるようなものが無かったので、裸よりましだと、身に付けた。 おっぱいの型は上手く取れたようだった。ウソップが蹴り殺されただけの価値はあったようだ。 それだけでも良かったなウソップ。いや、良くはないが……。 外のサンジとボンちゃんを気にしながら、イライラとチョコを湯せんにかけるのだが、 は、料理などしたことはない。チョコをこともあろうか固まりのまま、ボールに掘り込んだ。 ――ん!もう!!!溶けないよ!! ああん、また。お湯が混ざっちゃった! 時間だけがどんどん過ぎていく。その間、外では、に変身したり、ナミに変身したボンちゃんが、 あ〜でもないこうでもないと、サンジを翻弄していた。 ――大体さ、こんなネタチョコじゃないと、嬉しがってもらえないつ〜のが、間違ってるわよ! ああん、さきっぽのピンク色用だけなのに、全部食紅入れちゃった!!! ……には、才能がないようだ。というより、致命的に不器用なようだ。 は、外の喧騒を完全に忘れ、チョコ作りに熱中していた。 なんとも微妙なチョコだと思うのだが、ホワイトチョコに食紅混ぜてピンクの部分を作り、後はボディを全て 溶かしたチョコを流し込み、固めるだけなのだ。 のおっぱいの形でなきゃ、そりゃ?サンジには渡せないだろう。 なんという涙ぐましいバレンタインチョコ作りなんだろう。 ――そういや、今、何時なんだろう?まだ13日だよね?あれ? キッチンの小窓から覗いた外は、どっぷりと陽が暮れていた。 いつのまにか、外の喧騒も、やや勢いが衰え、ののしりあいしか聞こえてこなくなっていた。 「ぢょっとぉう?ちゃ…ん。ぜいぜいっ……まだかちらん?あちし、ちょっくら……疲れたわねぃ?」 「ったくオカマやろー、……ちょこまか変身しやがって!くそっ俺の蹴り、まともに受けてみや……がれ……」 「がーっはっはぁはぁ……。イヤよう。ここはちゃんがいいって言うまで、守って……見せるわねぃ! あ〜〜んた、ちゃんに謝まんなサーイよう……ふごっ!?」 のいるドアに気を取られた一瞬の隙に、サンジの蹴りが決まった。どさりとボンちゃんがぶつかる感触が ドア越しのに届いた。 「きゃーーボンちゃん!」 憎い恋敵じゃなくて、好敵手&友情を誓い合ったような想いがを動かした。 「ボンちゃん、ボンちゃーーん。しっかりしてvごめんね。がわがままだから、ボンちゃんごめんなさーい!」 「泣くな!友よvで、出来たのねぃ?しっかり、やんのよ……ふっごっ!!!」 「ってボンちゃん!!!まだなのよ!!うわぁーーん!!!」 「ったく、。何、やってたんだ?ん?うおっ!!!ちゃーーーん!なんてダイナマイッツな格好してんだ!」 先ほど、が見つけたは、綺麗にラッピングされた白いフリルがいっぱい付いたエプロンだった。 そう、仕方ないから、裸エプロンだ。いや、厳密に言うと裸エプロンではない。 スカートは辛うじて無事だったので、上半身だけ裸エプロンなのだ。 ボーンと飛び出たおっぱいは、はみ出そうだわ? 薄く生地からとんがった乳首は、浮き出てるわ? サンジをエロコックに一瞬のうちに変える芸当だったのは、当たり前だが、この破壊力は凄まじかったようだ。 先ほどまでの怒りは何処へやら、サンジは、恋の暴風雨どっかーんハートが狂喜乱舞、 他の誰にも、見せてたまるもんか!と、を捕まえてキッチンに消えた。 その時間、わずか何秒だ?いや、1秒もかからなかったと、後にウソップは語った。 「ひゃう〜〜〜ん!サンジ、やん!!!ごめんなさい。ボンちゃんとはなんでもないのよ!あのね」 「ちゃーん。俺嬉しいv裸エプロンだなーーんてvいい趣味vv」 「違うってば!きゃっ!サンジいや〜んvどこ舐めてるのよ!ひゃう!」 のおっぱいの脇についたチョコを、サンジはぺろぺろ舐め取った。 くすぐったいのと恥ずかしいので、もんどりをうつの指差す方向には、 ぐちゃぐちゃになって固まった物体があった。見るの無残なブラウスの残骸だ。 「ん?美味しいvなんだ、不可抗力かよ。コレ着てろ」 サンジは、諦めたように、自分の上着をの肩に掛けた。 「ありがとう」 「で、なんなんだ?こりゃ?見たトコ、チョコレートの湯せんの最中か?」 「……うん。あのね?」 は、叱られる覚悟を決めて、バレンタインのプランを、話し出した。 何故?ウソップを巻き込んだのか?カタトールのため 何故?ボンちゃんを巻き込んだのか?おっぱいの型を自力では取れないと思ったため。 内容が内容なだけに、サンジは、頭がくらくらした。 ――俺だけに迷惑をかけたつ〜〜んなら、まだ、許容範囲だ。 俺の大事なお姫さんだしな。 どんな願いだって叶えてやりてェし、喜ぶ笑い顔のためなら、どんなことだって、してやるさ。 ハァ〜〜、ウソップ蹴っちまった。悪ぃ……。 ボンちゃん、すまん! そもそも、そこまでバレンタインのチョコはおっぱいチョコとこだわった理由を、が話し始めると だんだん、サンジの呆れた顔が、真剣な顔になっていった。 「だって、サンジ、GM号のバレンタインデーは、好きな人に愛のこもったチョコレートを贈る日なんでしょ? 女の子が男の子に愛の告白する日なんでしょ?」 「まぁ、確かにそうだな。GM号ではな」 「でも、サンジは、みんなにチョコ菓子配るんだよね?当然、サンジは、私にもチョコ菓子くれるでしょ?」 「あぁ、当然だ。あいつらとは全然違うランクの特別。だけのために、作るさ」 「……サンジの美味しいもん。私、どんなに頑張ってみても、美味しいのできないよ。 だからね、ネタで勝負!と、思ったの……」 「で、おっぱいチョコなわけか?」 「だって、女として悔しいじゃない?美味しいって言ってもらえないなら、せめて……喜んで欲しかったの」 は、つんと澄ました顔で話しながらも、心の中では、涙が溢れてきた。 「ばっかだな。俺と勝負?そりゃ無謀だ。何年かかっても俺にはかなわねェよ」 サンジは、を横抱きにダッコした。 「あのな、がくれるもんならよ、どんなものでも俺にとっちゃ〜極上品さ。喜ぶさvさっきのチョコ美味かったぜ」 「サンジ、エッチだから。のおっぱいが、の体中で一番好きな場所だって思ったから……」 「アホかよ?一番好きな場所は、ここさ」 トンと、サンジの指先がの左胸を突いた。 「えっ!?おっぱいでしょ?」 「違うっつ〜〜の。なぁ?聞こえねェ?俺の鼓動?」 サンジは、の頭を胸に抱きしめた。の耳にサンジの鼓動が聞こえてきた。 とくんとくんと、耳をうつ規則正しい心音が、を包み込んでいく。温かい心地良さが、に流れ込んできた。 「聞こえるだろ?俺が?俺がのおっぱいに顔うずめんのが好きなのはよ、その音が聞きてェーんだ」 「安心しねェ?どんな時も、がそばに居てな、俺を包みこんでくれるような気がすんだよ」 「のどこが好きだなんて、選べねェし、の全てが、俺に向けられてるだけでいいんだ」 横抱きに抱かれ、サンジの胸に頬を寄せるの吐息が、サンジの欲望を煽りだした。 上着は着てても、下は裸エプロンだ。ぷにゅとした感触が、サンジの欲望を刺激する。 男なら、一度は夢見る裸エプロン。ここまで我慢したサンジはえらいといったら、えらいかもしれない。 「……サンジの音、好き。包んでくれるね」 「つ〜ことで、ちゃーーんv裸エプロンぷれいしよっ!!!」 先ほどまでの真面目に愛を語るサンジ瞬時に消え、我慢しつづけたエロコック魂がサンジの理性を押しやった。 「ぎゃーー!サンジ、ダメったらダメ!ここGM号じゃないんだよ!」 「ちっ!ヤダ!するったら、する!」 「ダメェ〜〜。私ね、ボンちゃんとウソップに謝らなくっちゃ、そんな気起きないよ」 「おっしっ!分かった!きっちり、謝らせてやる」 暴れるをぽいっと床に捨て、サンジは唖然とするに、にやりと笑いかけた。 そして、次々とチョコレートケーキの作り方を教えていった。 サンジは食材には厳しい。失敗作だった、お湯の入ったチョコの塊りを、サンジの魔法の指先が、くるくると動き 慣れないキッチンで探しだした材料とあわせ、がぼけっと見てるうちに、 綺麗なピンク色のチョコレートケーキにしてしまった。 「ん?こんなもんでどうでしょう?お姫さま。おう、ボンちゃーん、悪ぃな。受け取れ、俺様からのバレンタインチョコだ!」 キッチンから、てっきり怪しげな音が聞こえてくると思い込み、ボンちゃんたちは、今か今かと待っていた。 しかし、話声がやんだと思ったら、聞こえてきた音は、ガシャガシャ、ぼっ、チーーン。 それとともに流れてきたケーキの焼ける匂いに、夕食をとり損ねたクルー共々、唸っていた。 「じょーだんじゃナーイわよう!うちのキッチン、いい加減に、解放せいや!」 と、乗り込んできたところに、サンジが声を掛けた。 「ぎゃ〜〜〜サンちゃんお手製なのねぃ!あちし、柔肌をかけた甲斐があったわねぃ!!!」 「ボンちゃん、ごめんね」 「いいのよぅvあ〜んたのこと大好きになったしvサンちゃんからこーんなバレンタイン貰えたし、 あちし、泣けちゃうじゃナーイのよう!」 「ヲイ、俺の分は、あんのか?」 ウソップが、ドアから遠慮がちに聞いてきた。 「鼻ちゃーーんv一緒に食べる?って、やらないわよーーう!あちし独り占めよう!!がーっはっはっは!!!」 「サンジ、てめェーー俺の分はねェーーーのかよ!今回俺は蹴られ損か?このすっとこどっこい!!!」 「ったく、ちゃんと作ってやっからよ。ボンちゃん、チョコ貰ってくぜ!じゃーありがとうな」 『ホレ、荷物持て。ああーーん!コックに逆らうたーいい度胸だ!』 の手をぎゅっと握り、ウソップをアゴでこき使いながら、サンジはスワンだ号から、去っていった。 「……サンちゃんが、ありがとうだって?いったいどぅ〜〜なってんのよう? まっ、いいか。面白かったし?いっぱいサンちゃんと遊んだ気分?うっきうっきよぅ。 しっかし、コレおいちいわねぃ。ちゃんが、ネタで勝負したくなった気分、あちし分かるわ……」 夜中遅くに、GM号に帰ってきたサンジたちを、起きて待っているものは、いなかった。 ぶうぶう文句を言うウソップに、は、真剣に謝り、プライドについて話した。 キッチンで、ウソップのために特別なケーキを焼くサンジにも、当然聞こえたが、サンジは何も口を挟まなかった。 ウソップは、の乙女心はじゅうぶん分かったが、アホらしくて、仕方なかった。 やっぱり、あの時、蹴られようがどうしようが、の願い事なんか聞くんじゃなかったと思った。 そして固く心に誓った。 『絶対の面倒にはもう巻き込まれねェ〜何があっても断る!』 ケーキの焼けたいい匂いが漂う中、ウソップは椅子の上で夢の中に、おちていった。 月明かりの差し込む見張り台で、ふたりだけのバレンタインデーを祝ったのは、内緒の話。 格好は、もちろん、サンジの言うがまま。 おしまい |
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あとがきという名の言い訳 もう、これ、夢じゃないっすよ。単なるバカアホ話だ!ぎゃーーー!!! ダッシュで、逃げろ!!!ごめんなさーーーい!!! |