お誕生日おめでとう 晴れやかに、澄み切った青い空。今日は、麦藁海賊団船長ルフィの誕生日である。 口々に「おめでとう!!ルフィ!!」と、叫びながらサンジの作った御馳走を楽しむクルー達。 こいつら、誕生日にかこつけて、騒ぎたいだけなのであるが。 サンジは、ある事が気になっていた。 数ヶ月前、仲間として迎え入れた。 くるくるっと、ウエーブのかかったハニーブロンド。きらきらと輝く、グリーンの瞳。 「ちゃん」と、そりゃ〜ま〜、ラブコックぶりを遺憾なく発揮して、日々可愛がってる。 誰かの誕生日の度に、深く陰る瞳が、気になって仕方ないのである。 今日も又、「ルフィ、おめでとう!」 と、言いながらも、どこか浮かぬ顔。 おっし!!今日こそ、聞いてやる! 女の子の悩める顔見て、ほかっとくなんざ〜ラブコック失格だ! ん?なんだかやる気満々のサンジ。 今日の不寝番は。見張り台の上で、満天の星空を見つめ物思いに耽っている。 ……みんな…誕生日あるんだね… 「ちゃん!どうぞ、サンジ特性のココアですよ」 いつの間にか、やって来たサンジ。 「うわっ!!!びっくりした!!!」 大きな瞳を、更に大きくして驚く。 「さっ!冷めねぇうちに、」 いつもの、さりげないやさしい口調で勧めるサンジ。 「うん!サンジ、ありがとう」 にっこりと、微笑んで飲み始める。 ふぅ〜ふぅ〜と、冷ましながら飲むの後ろから、ゆっくりと話し始めた。 「なァ…ちゃん……」 「うん。何?サンジ?」 「なんで…誰かの誕生日つぅと……哀しそうな顔に…なるんだ。ん?」 「……」 ぴたっと止まるの動作。 後ろから、すっと抱きしめて、あやすように揺らしながら問うサンジ。 「俺ァ…ちゃんが好きだからヨ。哀しそうな顔してっとな…堪んなくなるんだよ。 聞かせてくれねェ〜?その訳」 の頭に顎を乗せ、問うサンジ。 くるっと顔の向きを変えさせ、真剣に見つめるサンジ。 どうして、どうして、サンジには、分かってしまうの? 哀しく寂しい心が、分かってしまうの? 抑えきれない涙が、ぽろっと、零れてきた。 涙を指先で受け止め、 (言ってごらん)と、蒼眼でものを言うサンジ 緩やかに時が、流れていった。 すっと、顔をそらし、ぽつぽつと話し始める 「…あの…ね……私………誕生日知らないの…もの心ついた頃には …もう……ひとりぼっちでね…孤児院に居たの …そこの……シスターにも…聞いてみたけど…戦災孤児だったみたいで… …わからないの…………」 震えながら、自分の原点となるべき場所の無い事を話す。 サンジには、バラティエがあり、ゼフがいた。 には、無機質な白い部屋とシスター。けっして、甘えさせてもらえない環境。 どれほどの愛に飢えた子供だったのか、辛かった孤児院での暮し、跳び出した世界での事を、 どんどん、吐き出していく。 ずっと、後ろから抱きしめて、なだめるような軽いキスを髪に落とし、 赤子をあやすように、揺らし続けた。 ひとしきりの独白と涙が続き、サンジが黙っている事に、耐えきれなくなった くるっとサンジを振り返り、深緑の瞳に哀しみをのせたまま、健気に”にこっ”と、笑う。 「ちゃん。俺じゃ〜ダメか? ちゃんの居るべき場所、俺の腕ん中じゃ…ダメか? 俺ァ…寂しかったその時に、そばに居てやれなかったのが、悔しいよ。 今からだって、遅くわねぇだろ?これから先…ずっと、俺の腕ん中に、居てくれよ…」 「なっ!!」 ”にっか!!”と、笑うサンジ。 「それって……」 眼を見開き、びっくり顔で、まじまじとサンジを見つめる。 「そっ!愛の告白ってヤツ」 煙草に火をつけ、”にやっ”と、笑うサンジ。 「………」 頭がパニックになり、口が利けない。 「ん?どうかしましたか、ちゃん」 首をひねり、口調とは裏腹な蒼眼で見つめるサンジ 「………同情?」 疑心暗鬼な心の 「いんや!違うな!俺ァそんな昔の話聞く前から、ちゃんの事が、好きなんだ。 なんだよ?信じらんねぇ?ん?」 軽い口調とは、かけ離れた真摯な蒼眼。 「………わかんない…」 素直に口に出す 「あはっは…まいったなァ〜こりゃ」 思わず、吹き出すサンジ。 「私…サンジが好き!」 頬を染めていきなり言う。 「えっ!!」 思わず、咥えていた煙草を落とすサンジ。 「だから、同情なんて、イヤ!!」 背を向けて、サンジの愛を拒む。 「イヤ」と、言ったら最後、そうとう頑固な一面を知っているサンジは、新しい煙草に火をつけ こりゃ〜〜長期戦だな。どうしたもんかねぇ〜このお子ちゃまプリンセスは…… と、天を仰ぎ、ゆっくりと紫煙を吐いた。 人としての愛というものを、知らずに育った。 GM号の日常生活から、少しづづ、得ていく、愛。 なにげないルフィの言葉、ナミの叱責、ロビンの慰め。 ウソップの心配り、チョッパーの可愛らしさ、ゾロの信念。 自分を仲間として受け入れ、無条件の愛を注いでくれるクルー達。 そして、日々そばに居て、包み込むような愛ってヤツを教えてくれるサンジ。 軽いキス、抱擁だけでなく、魂の触れ合いを感じ、ゆっくり、学んでいく。 ある日の朝、ラウンジでのこと 「ちゃん、今日、何の日か、知ってっか??」 「ん?サンジ、何の日だっけ?ん〜〜〜わかんない!」 サンジがくすぐるものだから、くすくす笑いながら応える 「今日なっ…の誕生日」 真剣な蒼眼で見つめるサンジ 「えっ!?」 すっと、青ざめる やさしい蒼眼で、じっと見つめ話すサンジ 「今日はな、がGM号に乗り込んだ日なんだヨ …んっとなっ、つまり…俺のメシを、初めて食べた日つ〜こった!」 「あのな、初めてキスした日とか、初めてエッチした日とか色々考えたんだけどよ…」 ちょっと、焦りながら赤くなりながら、一気に、しゃべりまくるサンジ 「俺のメシ食べてから、ずっと育ってきた身体ってなんか、よくねぇ?うまく、言えねぇけどよっ 身体の細胞全部が、俺のメシから、出来てんだぜ…って、考えたらヨォ…… 今日が、の誕生日ってのが、一番、合ってる気がしてなっ」 「ん?なんだ!!!泣くなよォ〜〜〜〜〜」 ぽたぽたと、哀しくないのに、涙が零れる。 「サンジ…なんで?哀しくないのに……泣けるの?」 「嬉し涙つ〜んだよっ、そりゃ!」 「サンジ〜〜うわあ〜〜〜〜〜ん!!ひっく!愛してる!!」 「おっ!!やっと、言ってくれたなっ!プリンセス」 の泣き笑い声とサンジの笑い声が、GM号を駆け抜けていき、クルー達の眼を覚ます。 どやどやと、駆け込んできて、呆気に取られているクルー達。 「今日はの誕生日だ!!」 「お〜〜〜〜〜〜〜サンジィ〜〜〜〜〜〜〜肉〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」 船長ルフィのかけ声と共に、みんなが叫ぶ。 「「「「「「「「おめでとう!!!!」」」」」」」 嬉しくて嬉しくて、涙の止まらないを、片時も離さず御馳走の山を、作り続けるサンジ ”こんな嬉しい涙がある”って、知ったの涙が止まったのは、夜中になってからだった。 もちろん、サンジの腕の中でv おしまい |
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「愛」色んな愛があると思います。 GM号にはその色んな愛が溢れていると思うのですが、どうでしょうか? あの中で過ごしたら、どんな心の頑なな人でも愛する事を、覚えれるのではないでしょうか? って、サンジのセリフ「身体の細胞全部が、俺のメシから、出来てんだぜ…」 これが書きたかっただけ!つ〜のは、秘密です(笑) |