常世の静寂を彷徨えし
我が魂に花一輪・・・
願わくば・・・
黄泉の淵にて彷徨えし
我が魂・・・
冥府に送れよ鳴けホトトギス・・・
【不如帰】
海鳴りの音
この星の遠くからやってくる波の音が作り出す、複雑な音楽・・・・
本日不寝番であるゾロは酒を呷り、天を仰いだ。
空を埋め尽くす満天の星、今にも落下しそうなその星々をゾロは冷たい目で見つめていた
萌葱色の短髪が海からの風に小さく揺れる。
一筋の流れ星
それは紅く、命の終わりを告げるようでいて・・・・
「星が・・・・落ちた・・・・か・・」
ゾロはそう呟くと、何かを思い出すように表情を歪めた
チチリと鬼鉄が鳴く、何かに共鳴するような・・・唐紅の歌。
シャン
音がした、金の輪がぶつかり合う軽い音・・・霧雲が静かに手を広げる
シャン
再び響く音、ゾロは刀を手に取り身構え、音のする方へと身体を向けた
向こうに影が見える、霧がかった海の中でその影はひたすら強く殊更ハッキリと映って見えた。
僧形、手に錫杖、網代笠に袈裟行李、絡子に緇依、そして腰まで伸びた髪・・・・
その色は銀。
僧はツィ・・・と笠に手をかけ見上げるように顔を上げた
一瞬の既視感・・・・
遠い昔に見たような記憶、でもそれはやはり夢のように消えていった。
「コンバンワ」
鈴のような声
くたびれた法衣や使い込まれた袈裟行李などは旅を続ける雲水であることを物語っていたが
長い銀の髪、唐紅の瞳と幼い少女の顔立ちは僧には不釣り合いなものに見えた。
「誰だおめェ・・・」
ゾロは敵意を剥き出しにし、僧形の少女を睨み付ける
「鬼の血を辿って延々と旅をしていたの・・・私は・・・」
と名乗る僧形の少女は海面を音も立てずに歩き、あっという間にゾロの側までやってきた
唐紅の瞳は全てを見透かすようで・・・目を合わせればぞわりと産毛が逆立つような禍々しい気を放ち
その瞳の奥で何かが脈打っているような・・・
「女・・・・・?」
見えない陽炎の様な”何か”がゾロの脳内を浸食する、針のような悪寒に身体が震えた。
「鬼の・・・・血・・・?」
頭の中で「カタナヲヌケ」と誰かが指示を出す、ブルブルと震える手でゾロは鬼鉄を抜きだし
その切っ先をに向けた。
「終われない・・・不如帰が鳴いても私は常世へは逝けない・・・」
はその表情を無くしてしまったように凍りついた瞳から大粒の真珠を零す
「おめェ・・・鬼鉄・・・・なのか・・・?」
その声が己の口から発せられたモノだと理解するまでにゾロは数秒の時を要した。
凍りついたように無表情だったの顔に初めて感情らしきものが現れ唐紅の瞳が一瞬揺れた。
「長い旅をしてきた・・・長い間・・・どんな場所へも行った・・幾多の血を吸いながら・・・」
は吐き出すように鈴の音で言葉を紡ぐ
それはの心、鬼鉄の心。
遠くの島で不如帰が丑三つを告げる・・・・・
「で・・・・俺にどうしろって言うんだ・・・」
ゾロには今までの会話が何の事か全く理解できなかった、冷や汗が背中を流れる
得も言われぬ恐怖感にギリ・・・と歯を噛みしめを睨む、言葉にならない声が喉につまって胸を押し上げる。
「私を・・・・常世へ送ってほしいの・・・もう・・・旅に疲れたの・・・」
はスッと腕を伸ばし向けられた刀の切っ先を摘み己の首筋に押し当てた。
ツウ・・・・・・・・と血が一筋流れる。
霧雲が雪を呼び何時しか粉雪が螺旋を描いて全てを覆い隠すかのように音もなく降ってきていた
一瞬の沈黙の後が口を開く
「もう持ち主が変わる事はないと思うの・・・鬼の血を受ける器にあなたは・・・ゾロはきっとなれる」
「俺は・・・俺は難しい事ぁ分からねェが、別に死ななくてもいいんじゃねェか?
持ち主が変わらねェならずっとココにいりゃあいい。」
恐怖感は薄れ、の首筋から切っ先をそらし、刀を鞘に納めゾロはの前に鬼鉄を押し出す。
「ここに・・・側にいてもいいの?煩わしいとは思わないの?」
鬼鉄を差し出すゾロの手をそっと包み込むようには手を添え問う。
「構わねェさ、おめェは鬼鉄なんだろ?おめェが死んじまったら魂の抜けた刀になっちまう」
ゾロはニヤリと笑い大剣豪になる俺をしっかりと見届けてくれと付け足した。
「ゾロ・・・・」
は笑みを零す、気が遠くなるほどの長い間・・・血を吸い、我が身を常世へと誘う者を探す旅が終わりを迎える
重ねられた手を割って凝固する光、それはとても神々しい紅い光
永遠の一瞬
紅い光に染まった銀色の髪が風に揺れ、雪の結晶を煌めかせる
「ありがとうゾロ・・・例えその道が険しく鬼の血が滾る道であろうとも・・・私は・・・・
・・・この杜鵑草をあなたに・・・花の意は永遠にあなたのもの・・・・」
白地に紅紫色の斑点を施した花の枝をゾロの手に渡し、光に包まれは鬼鉄と一体になり唐紅の歌が響く・・・
光が消え、辺りにはまた静寂が訪れ海鳴りの音・・・・
「・・・・?」
ゾロは眩しくて閉じていた目をそっと開き、鬼鉄を見た。
鬼鉄はチリリと唐紅の歌を紡ぎ、杜鵑草がの最後に見せた微笑みを思い出させる・・・・
妖刀三代鬼鉄・・・・
名だたる剣豪達が腰にしたことで悲運の死を遂げる呪いの刀・・・
禍々しい気を放つがその心は
少女のように嫋やかで繊細である・・・・・
《END》
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・・・・はいそこ「は?」とか言わない!!
一番わけ分かんねェの書いた本人なんだからぁー!!(絶叫)
「不如帰」と「杜鵑」は2つとも同じ読みで「ホトトギス」と読みます。
フリガナ打たないので分からない方多いと思いますが・・・・
私は鬼鉄が一番好きなんです。
欲しいです、えぇもう腰に下げて歩きたいぐらい・・・・(末期)
無駄にながーい!!しかし2時間で書いたー!!
最初死ネタで行こうと思ったんですけどね・・・・?
刀に魂が無くなったらただのなまくらじゃないですか!!
途中意地で話をねじ曲げたので意味不明な文になっちまいました。
相も変わらず意味不明ですいません。
「夢幻の幽霊海賊船」小山ゆうこ様、ゾロ誕DLFで、頂いて参りました。
創りあげられた世界の摩訶不思議さ。
鬼徹に宿る少女の描写。
うっひょーーーきたよ!きたよ!!と、思いました。(どんな感想なんじゃ?)
幻想的な世界、無茶苦茶、好きですv
ゆうこさん、ありがとうございましたv
閉鎖されました。お疲れ様です。